2017/06/25

Jean Michel Veillonの言葉

雅楽の龍笛、能管や篠笛について話してくれないか。私が初めて雅楽の笛を聴いた時、その音色はヴィブラートがなくまっすぐで、時間の感覚が西洋のものとは違うと感じたんだ。それはインドの古典音楽(ラーガ)を聴いた時にも感じた。
きっと、西洋でも古代はそのような時間の感覚だったのだろう。でも、現代の都市では、時間を数えられる単位として感じている。私がフルートを演奏し始めた頃から、東洋の音楽には興味を持っていた。

私は幼少の頃にダンスを始めた。そして、ボンバルド(オーボエの一種)を演奏し始めた。その頃、スコットランド音楽やアイルランド音楽がブルターニュにも紹介され始め、私はフルートでアイルランド音楽を演奏し始めた。その頃、実際の アイリッシュ・フルートを見たことがなかった私は、古道具屋で見つけたフルートを買って吹いていたんだ。それはパリで製作された19世紀のフルートで、今思えばバロック音楽を演奏するためのフルート・トラヴェルソだった。415hzで、他の楽器とは音程が合わなかったので、私は無理やり足部管を切って指孔を刃物で広げて演奏したんだ。自分の人生で最初の録音(テープ)では、それを吹いた。それはさておき…。

 当時、ブルトン音楽をフルートで演奏している人はほとんどいなかった。ハープ奏者のAlan Stivellのバンドでボンバルドやイリアンパイプスを演奏していたAlan Kloatrくらいだったが、本当にわずかな曲しか吹かなかった。それで、音楽の友人が、フルートでブルトン音楽を演奏してみてはどうかといったんだ。そこで、私はボンバルドでやっている通りにフルートでブルトン音楽を演奏してみた。ところが、全然良く思えなかった。それきりしばらく演奏しなかった。
その頃に、東洋の笛の音色を聞いたんだ。雅楽の笛や尺八、インドや中国やペルシアの笛。それらが私に深いインスピレーションを与えた。楽器が違うのでそのまま真似たということはないが、そういう音楽を聴いた時の感覚でフルートを吹いて、しばらくしてから、フェストノーズでフルートを吹いたら、「ブルターニュの楽師をよく聴き込んだんだな!」と言われたんだ。実際にはアジアの音楽を聴いていたのにね。最近は、ブルターニュでも多くの若いフルート奏者がいるが、そのうちの何人かはまったくアイルランド音楽を演奏しない。それはすこし奇妙だと思う。今、ブルターニュのフルートについて本を書いているんだ。これらの話はすべてそれに書くつもりだ。いずれ英語版も出るはずなので、楽しみにしていてほしい。

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