2018/11/24

日本の音楽が吹きたい


勤労感謝の日の今日、誘われて知人の篠笛奏者お二人のコンサート「風の彩 二管の綾」を見に行きました。

ポスター写真左の森美和子さんは私が学生時代からの知り合いで篠笛のプロ演奏家で日本各地の伝統芸能の篠笛を学んでいる方です。写真右の山口幹文さんは新潟佐渡の芸術集団「鼓童」の現役の笛奏者で、今年はコンサートをご一緒にさせていただきました。

今日のコンサートは無伴奏笛2本のみということで、民謡、自作曲、お囃子などを織り交ぜ笛2本の楽しみと可能性をたっぷり披露くださいました。

私は日本人でありながらケルト音楽の笛を吹いていますから、ヨーロッパを旅行すると日本の曲をリクエストされる場面が多いものです。そのような時に日本の音楽も吹けたら良いなと思うことがしばしばありますが、童謡などをそれらしく吹いてお茶を濁して済ませてきました。

日本の笛奏者では能管奏者の一噌幸弘さんと数年来親しくさせていただいますが、さらに去年に篠笛奏者の村下さんと出会ったきっかけで、今年は山口幹文さん、狩野泰一さんという篠笛の大ベテラン奏者とお引き合わせいただきコンサートをご一緒し、お二人の住む佐渡にも行くことができました。また龍笛奏者の芳村直也さんとも出会い、私の笛史上で大きなインパクトのある一年でした。

一噌さんには能管を吹くよう勧めて頂いていましたし、深い音色の尺八もまた魅力的です。そこで今年は自分も和笛に挑戦する年かなと思い、立平さんの篠笛を購入し狩野泰一さんのレッスンを見学させていただきましたが、それでもどの笛にも気持ちが動きませんでした。

お能はかつての武士の音楽、雅楽や神楽は神職の音楽、尺八は虚無僧の音楽。今は何を使って何を吹いても自由な活動が許される時代ですが、どうしても真面目に考えてしまいます。自分はそれらの世界と合うように思えない。そして誰かの家元に習いに行ったり、和笛奏者に転身して和装して舞台に立つ姿はどうも想像できない。やはり生活の音楽、つまり民謡が好きです。

そこで気軽に楽しめそうな篠笛なのですが、最近は篠笛でポップスや童謡やゲーム音楽を吹くほうが流行しているようで、そうでなければ特殊な音律や運指の伝統的な郷土芸能のお囃子笛という極端な選択肢となります。

何の和笛であれ近年流行りの西洋音楽の影響を受けた音楽には、どうも興味を持つことができません(奏者の方を批判しているわけではなく、あくまでも私の音楽的嗜好です)。西洋音楽的な和音進行や8小節ひとパートの構成を聴くと、とたんに萎えてしまうのです。

日本の笛の方を例にすると波風が経ちますから、韓国の笛で言うと、こういう奏者よりも
https://www.youtube.com/watch?v=RnXiNWALM54

こういう奏者が好みです。
https://www.youtube.com/watch?v=pEztEb1vf_s

伝わりますか。2つ目の笛は正真正銘の伝統音楽ですが、本当は伝統音楽を基礎にした芸術性の高い新しい創作音楽が好みです。

一方でお囃子は華やかで魅力的なのですが、曲数が少なく、短いフレーズを延々と繰り返して吹くもので音楽作品として舞台で演奏するものではありません。自分はアーティストとして作品を創り表現したい。自分が篠笛にのめりこめないのは、そういう理由だと理解しました。

そこで先日のブルターニュの伝統音楽を演奏するフルート奏者ジャンミシェルさんの音楽との出会いからひらめきました。
ジャンミシェルさんは、もともとなかったフルートをブルターニュ音楽に持ち込んで演奏スタイルを確立しました。それならば、日本にない木製フルートで日本の音楽を演奏するスタイルを模索したってよいのではないか。
フルートをある程度使いこなせる自分にとっては、今からまったく新しい和笛を始めるよりも、日本の笛の音律や奏法をフルートで演奏するほうが現実的だし自分らしい。それに日本の音楽にはない楽器なので、何をどう吹くのも自由だし誰に遠慮することもない。

この年末にようやく方向性が見えた思いです。これが何につながるのか今の自分にはまだわかりませんが、40代に入りましたし、ここからはライフワークとして日本の伝統音楽を調べ、学んでみたいと思っています。

とりあえず、来年キャンピングカーを手に入れたら夏に東北を周り、各地のお祭り囃子を見てきたいと考えています。

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