みなさん、こんにちは。ケルトの笛のhataoです。
今回は、僕のような音楽家だけでなく、どんな人にも応用できる話題をお届けします。
仕事や趣味で、競争に追い込まれてストレスを感じたり、ライバルに対して嫉妬心や競争心に苦しんでいる人ってとても多いと思います。若いころの僕自身がそうでした。
そこで、今回は僕がどうやってそのようなストレスから自分を守り、経済的・精神的な安定を得たのかについて、経験と考えを分かち合います。
あなたは、こんな経験はありませんか?
・ライバルが自分より大きな仕事を得た。
・ライバルが自分にはできないすごいことをした。
・ライバルのほうが自分より人気や注目を集めている。
・ライバルが自分よりも稼いでいるかもしれない。
・SNSでライバル充実している様子を見た。
こんな時に感じるのは、悔しさ、焦り、いらだち、不安、嫉妬、という感情ではないでしょうか。とても苦しいですし、おだやかな気持ちではいられません。
それは「今のままでは食べられなくなる」という動物の生存本能がもとになって生まれる感情です。ライバルに出し抜かれると自分の仕事や立場がなくなる、ということです。だから素直に現実を受け入れられず、苦しむのです。
どうやったら、そのような苦しみから逃れ、経済的・精神的な平和を得ることができるでしょうか。8つの方法についてお話します。
(1)自分だけのマーケットを見つける
同じ業界で同じことをしていれば、競争になります。金鉱脈が見つかった後に山師が密集するような状態で、限りある資源を奪い合う世界です。そこでは、どんなことをしてでも他人を出し抜いてシェアを奪おうとします。
しかし、あらたな金脈、またはまったく違った分野の宝は常にあります。身の回りに需要があるのに誰も気が付いていない分野はありませんか。そこでは、あなたが一番になれる可能性があります。マーケティングでは、「ブルーオーシャン戦略」といいます。競争が盛んなレッドオーシャンを避けて、ニッチな需要を探すのです。投資には「人の行く裏に道あり花の山」という格言があります。
(2)自分だけのマーケットを作る
先に述べた通り、すでにあるマーケットでは、そのシェアを奪い合う競争が発生します。しかしまだ誰も気が付いていない需要というのは、常に存在します。
例えば、ガラケー全盛の時代に、様々なアプリをダウンロードし、並行に起動させ、タッチパネルで操作するiPhoneが登場したとき、スマートフォンという巨大なマーケットが生まれました。まだ存在していない需要を自ら生み出し、自分がその分野の先駆者となるのです。
(3)ナンバーワンよりオンリーワン
競争社会では、ある一定の基準において序列が作られます。基準とは、より新しいもの、優れたもの、人気のあるものなどですが、それは常に変わりゆくので、一度トップの座を得たからと言って、一生安泰ということはありえません。しかし、誰とも比較できない、マネも追随もできないオリジナリティを確立してしまえば、そのポジションを奪われることはありません。
例えば、タモリは漫才もコントもしませんが、司会者として唯一無二の存在で、若手が出て来ようが、その座を奪われることはありません。松本人志は「自分だけの山を登る」と表現しました。生物界の「棲み分け」の生き残り戦略とも通じます。
(4)ほかの方法で経済的な基盤を作る
嫉妬心や焦りは自分の生存が脅かされるという本能的な危機感から生まれます。状況がどうなっても生きて行ける経済的な基盤がしっかりしていれば、その不安も和らぐのではないでしょうか。例えば演奏家であれば音楽以外の仕事で安定した収入を確保するとか、演奏以外のレッスンなどでしっかりした経済的な基盤を築いていれば、ライバルの活躍で演奏の収入が減ったとしても生活の危機には直結せず、精神的に安定します。
(5)自分だけのビジネスモデルを作る
収入が一つの方法だけしかなければ、その収入が減るとすぐに生活の危機に直結してしまいます。ですから、ライバルが活躍すると嫉妬したり素直に喜べなかったりするのです。演奏家で言えば、ライブだけの収入に依存すると、他の演奏家の活躍は素直に喜べなくなります。
しかし、メインの項目に関連する方法で複数の収入を得る手段があれば、ひとつがダメになったからと言って、すぐに危機に陥ることはありません。
そのテーマに関連して「教える」「助ける」「文章を書く」「グッズを売る」「相談に乗る」など、様々なことで収入を得ることができます。
それを組み合わせることで、相乗効果が生まれてより強固な経済的基盤を作ることができます。
(6)人を応援する
少し難易度が高いのですが、ライバルをあえて応援するのです。
普通は、ライバルが活躍するのは苦々しく思うのが人情というものです。そのため、ライバルが活躍していることを無視したり、悪い噂を流して活躍を妨害してしまう人もいるかもしれません。しかし、大きな視点で考えたとき、それは誰かのためになるのでしょうか。お客さんを遠のかせ、ライバルから仕事を奪い、結局はその業界を先細りさせ、将来性を損ね、自分自身も損をするのではないでしょうか。
僕はヨーロッパの伝統音楽というニッチなマーケットを生業としているのですが、今はたまたま生活ができていても、30年後、40年後はマーケットが消滅しているかもしれないという危機感を常に感じています。
今だけの生活を考えずに、業界全体を、100年のスケールで考えてください。そうすると、自分より活躍する人が出て、世間の注目を集めることは、業界全体を活性化させ、ひいては自分のためにもなることは自明の理です。自分自身がずっとこの仕事ができるとは限らないのです。自分よりも優れた人の活躍を応援することは、自分の仕事を引き継いでくれる人を確保することでもあります。
(7)異なる立場の人も理解し尊重する
同じ業界で同じことをする人が複数いれば、それぞれの主義主張、手法、スタイルがあるのは当然です。そこで自分と異なるものを認められなければ、当然対立が生まれます。そこから一つ頭抜けることができないのであれば、その中に身を置きながら、ほかのスタイルも認め、尊重するというのも方法です。否定せず、尊重すれば、相手にも伝わり、競争から協力関係に変わります。もし協力関係にまでならなくとも、少なくともほっておいてくれるはずです。
(8)圧倒的に優位に立つ
最後ですが、競争に身を置きながら競争から逃れる究極の方法は、自分が誰にも追いつけないほどの圧倒的なレベルに突き抜けるということです。日本のライブハウスで活動しているアーテイストが、マドンナとかマイケル・ジャクソンに嫉妬をするでしょうか。
嫉妬というのは、どんぐりの背比べと言いますか、勝てると思う相手に抱く感情です。競争の中に身を置いたとしても、自分が2位と10倍の差をつけていれば、もはや誰も嫉妬しませんし、自分も誰に対しても嫉妬することはありません。
<最後に ものの見方を変えよう>
競争関係に置かれたとき、人は「パイを奪い合う」という言葉のように、ゼロサムゲームの世界観(上限が決まっており、誰かが得をすれば同じだけ誰かが損をする)で、自分のシェアを拡大させ既得権益を守ろうと必死になります。
しかし自らパイを増やし得た富を分かち合うことで、誰もがウィン-ウィンの協力関係になることができると僕は信じています。
悪感情が出てくるのは、自信のなさのあらわれです。ものの見方を転換し、競争ではなく、それぞれが自分と闘って自分のベストを尽くそうとしているのだと思えば、ライバルの存在も愛しく思えるはずです。このアイデアが、誰かの支えになればと思います。