フランスのブルターニュのケルト音楽を演奏するJean-Michel
Veillon(ジャン・
ミシェル・ヴェイヨン)さんの初来日ツアーがもうあと2週間ほどで始まり
ます。
先月号ではブルターニュ音楽とジャンさんの功績について書きました。
ジャンさんについては、たくさんのインタビュー記事がありますので、
より詳しく知りたい方は、こちらをぜひご一読ください(日本語)。
https://celtnofue.com/column/musician/interview/index.html#p_brittany
私がジャンさんのことを知ったのは学生時代にアイリッシュ・フルートを
始めた2000年のことでした。当時はアイルランド音楽に夢中で毎週セッション
に通っており、頭の中はリールやジグでいっぱい。そんな中で、アメリカの
Green Linnetレーベルから発売されていたバンドKornogのCDを聴いたのです。
ジャンさんの名前は海外のフルート奏者のインタビューの中でもたびたび
言及されており、興味を持っていました。ジャンさんのフルートはそんな
アイリッシュどっぷりの私にとって、目を見開くような体験でした。
彼のフルートはアイルランドの奏者とは全く違う表現スタイルです。アイル
ランド音楽ではダンス音楽が主であり、リズムの正確さや装飾の美しさが命です
が、ジャンさんの音楽はブルターニュのダンス音楽でありながら、心の内面の
機微を表現しているように感じました。演奏技法的には、アイルランド音楽
ではあまり開拓されていないタンギングの可能性、そして東洋の音楽から
発想を得た様々なフルートの新しい奏法を積極的に取り入れています。
ジャンさんは数多くのバンドで活躍していますが、特にフルートとギター
のデュオが素晴らしく、シンプルかつ深みのある演奏を細部まで堪能すること
ができます。ジャンさんにとっても、デュオはひとつのテーマであるようで、
これまでYconさんとのデュオとしてライブアルバムを含む4枚のCDを発表して
います。
デュオ作品として最もおすすめするのは、こちらのCDです。
https://celtnofue.com/items/detail.html?id=590
ジャンさんのもうひとつの魅力は、その音楽性の幅広さ。ブルターニュでは
もともとフルートが使われていなかったので、アイルランドやスコットランド
音楽から演奏技術を学びました。そのためブルターニュ音楽のほかにアイル
ランド、スコットランド音楽の演奏も得意としています。さらに、Kornogでは
東欧音楽の演奏も手がけており、今回のコンサートではどんな音楽が聴けるの
が楽しみです。
ケルト音楽ファンはもちろん、フルートなど管楽器奏者は絶対に見逃して
ほしくないコンサートです。たくさんのインスピレーションと知識を得られる
ことでしょう。
ジャンさんのツアーは11月3日(土)の大阪から始まります。
チケットの予約は下記からどうぞ。
https://celtnofue.com/about/jmv.html