<音楽教師日記 大人の習い事の楽しみ>
先日は名古屋のグループレッスンの毎年恒例のクリスマス会がありました。
この会は毎年12月にいつもの貸し教室を使って開催しており、2時間で生徒さんの発表、ゲスト講師を招いてのコンサート、茶話会をします。今年はハープのnamiさんをゲストに迎え、生徒さんの発表の伴奏とコンサートをしてもらいました。
受講生それぞれが主体的に興味のあることや好きな曲を持ち寄って発表し、それぞれの方法で音楽を楽しみ、進歩していることに心打たれました。巧拙よりも、音楽への情熱が、アマチュアの皆さんの最高の魅力だと思います。
受講生は中高年の女性が中心で、長い方は震災前にカルチャーセンターで講座をしていた頃から続けてくださっています。
当時のカルチャーセンターでの講座は一般向けだったので、常に入れ替わりがあり人が定着せず、やがて人数が少なくなり打ち切りとなりました。しかし練習を続けたい熱心な生徒さんのおかげで、名古屋市で独立して続けられることになりました。それから7年ほど、今では僕の好きなケルトの伝統音楽を練習しています。
カルチャーセンター在籍中は会社が交通費を出してくれていたのですが、独立直後の生徒さんが少ない時期は生徒さんが個人レッスンも平行して受講してくださり、交通費をまかなうことができました。今ではお陰でキャンセル待ちの人気講座になりました。
名古屋で僕のコンサートがあれば必ず来てくださる応援団の皆さん。これでも教室では一番若い僕にとってはお姉さんのような存在で、そのとおりの"hatao sisters"というグループで月に1回集まって練習したり、ボランティア演奏に出演したりしています。
それぞれが個性的な面々で、演奏技術もやりたいこともまちまちですが、お互いを認めあって受け入れあい、和気あいあいと仲良く音楽を楽しんでいることが、僕にはとても嬉しく思います。みなさん、育児や介護、お仕事、ご病気などさまざまな苦難がありながら、それでも音楽を楽しみに来てくださいます。
大人の習い事にはいろいろな関わり方があります。何かの技術や知識を習得することを目標に取り組むことも、新しい習い事に次々と挑戦して自分に合うものを探すことも、意義があることです。
しかしこと大人が音楽を習うことに関しては、彼女たちのように家庭や職場以外で仲間や居場所を作り、生活の中に音楽のある時間を楽しむことが尊いのです。その中で成長があり、新しい曲や知識との出会いがあります。先生として僕はそのお手伝いをさせてもらっています。
何歳からでも始められる、そしてすぐに楽しむことができ、長く続けられる。それが伝統音楽の楽しみです。それを教えてくれたのは、名古屋や奈良の生徒さんの皆さんです。
僕の時間には限りがあるのでこれ以上レッスンを増やそうとは考えていませんが、ご縁があって受講してくださる方々との絆は自分がどんなに忙しくなっても大切に守っていきたいと思っています。