2017/12/14

マインドフルネスの実践


今、健康の他に注目していることは、「集中力」。仕事で高いパフォーマンスを発揮する秘訣は、集中力を高めることです。

僕の仕事では、演奏、レッスン、本の執筆やリサーチのすべてにおいて、高い集中力が求められます。しかし正直なところ、意識がそれたり、怒りや悲しみの感情を抱えていたり、だるさや眠けを感じていたりなどで集中できない時間の方が多いことを認めなくてはいけません。

瞑想やマインドフルネスについては去年から本を読んだり折に触れて実践していますが、今読んでいる本「からっぽ!」は、普通のイギリス人が心身の不調のためネパールやチベットに行って瞑想を修行した体験談で、毎朝、一章ずつ読んで瞑想を実践しています。

今日は10分の瞑想をしましたが、瞑想から醒めるととても頭がスッキリし、五感がクリアに感じました。

マインドフルネス(いま、ここに意識を向けること)は、秘境の禅寺でなくてはできないわけではありません。毎日の生活の中で、食事を作るとき、食べるとき、掃除をするとき、歩くときなどいつでも練習できます。楽器を演奏する人であれば、基礎練習をマインドフルにやってみましょう。

僕は毎朝の一連の日課である、朝食を作りコーヒーを淹れる、散歩する、本を読む、トイレを磨く、掃除する、といったすべての行動で、意識を向けるようにします。

マインドフルネスを実践して、ゆくゆくは感情をコントロールできるように、ゆるやかにつないでゆきたいです。

瞑想やマインドフルネスを実践している方、ぜひコメントください。

2017/12/13

曲名のhumoursとは何か

アイルランド音楽の"humours of+地名"のタイトルについて、英語ネイティブであっても意味が難しいようなのですが、アメリカのslow playersというサイトに、コラムが載っていました。Leslie E. Jonesさんが著しました。
以下 http://slowplayers.org/humours-and-airs/ から引用

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You might have noticed that there are a number of tunes with “humour” in the title.

曲名に"humour"とついた曲がたくさんあることに気がついたかもしれません。

 The word “humour” or “humor”  in the context of tune names does not refer to jocularity, but to the ancient medical idea of the four humours – and when I say ancient, I mean the ancient Greece of Aristotle (384–322 BCE) and developed by Galen (129 – c. 200 CE).

曲名で"humour"や"humor"がついている場合、おどけたり面白おかしいという意味ではなく、古代医学の四体液思想のことを言っており、ここでの古代とはアリストテレス(384–322 BCE)とガレノス(129 – c. 200 CE)によって発達した古代ギリシア思想のことを指しています。

  Galen held that there are four humours in the human body (Blood, Yellow Bile, Black Bile, and Phlegm) corresponding to Aristotle’s four elements (Fire, Water, Earth, Air) — these four elements were asserted to be the fundamental constituents of everything that exists.

ガレノスは、人体には血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁からなる4つの液体が
あり、それはアリストテレスの説く、この世界のあらゆるものを構成する
要素である火、水、土、空気の四元素と対応しているのだとしました。

  Aristotle (along with Plato and Pythagoras) asserted that music had a direct effect on human emotions, actually creating those emotions within the soul.

アリストテレス(やプラトンやピタゴラス)は音楽は人間の感情に直接作用し、それらの感情を魂の中に実際に創造するのだと主張しました。

 A humor, for Galen, is an essence.

ガレノスにとって、humourとは物事の本質です。

  Each of the four (respectively: Yellow Bile, Phlegm, Black Bile, Blood) is needed to be in balance for a person to be in good health.

四体液のそれぞれは人が健康な状態を保つために不可欠なものです。

 The blood was associated with artisanship, and responsible for both ones level of hopefulness and one’s level of erotic passion – the phrases “hot blooded,” “cold hearted,” “cool headed,” and “warm hearted” are all vestiges of this ancient view of how the body works.

血液は職人技と結び付けられ、希望や性的情熱の要因でした。「熱い血液」や「冷たい心臓」「冷めた頭」「温かい心」といった表現は古代における人体の仕組みの考え方の名残です。

During the Middle Ages this idea of humours or airs was also applied to places thought to have a certain quality affecting health.

中世に、humourやairsについての思想は、健康に影響を与えると考えられる実際の場所にも応用されました。

  Some geographical places have a restorative effect on health, others a degenerative one (smell was one indicator).

それによると、ある土地が健康を回復させたり、悪化させたりするのです(ひとつは匂いで判別しました)。

 Later, around the seventeenth century, the quality or “air” of a place began to sometimes be called its “humour,” and some doctors would prescribe spending time there as part of a cure for certain ailments – this is still practiced in Italy, for example.

のちに、17世紀頃になって土地の"air"(雰囲気?)の質はしばしば"humour"と呼ばれるようになりました。医者がある種の不調への処方として、患者に特定の場所で過ごさせたようで、例えばイタリアでは今でも行われています。

 Over time people began to also use the term metaphorically, and then in the States we dropped the second “u” because George III tried to keep the colonies.

やがて人々はそれ(humour)を比喩として使うようになり、アメリカではジョージ三世が植民地を継続しようとしたために、私達は2つめの"u"を省きました。

※訳者解説:イギリス式スペルではhumours、アメリカ式ではhumorsとなるのは、アメリカがイギリスの植民地支配を脱する過程で独自のスペルを持つことを選んだから。

 This view of how the human body worked was also responsible for the death of the first president of the United States.

人体の仕組みについてのこの考え方はアメリカ初代大統領の死についても当てはめられました。

Accordingly, “the humors of . . .” harkens back to a world-view at odds with modern science and modern medicine.

つまり、"the humors of"は現代科学や現代医学の敵になっていることを思い起こさせるのです。
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最後はわかったようなわからないような、煙に巻かれたような気分ですが、どうやら人の感情に作用を及ぼすその土地特有の情感、といった意味なのではないかなと思います。


2017/12/06

「安定」が人生に必要だと考える理由

先日の誕生日に、今年の目標は「安定感」を得ることという記事を書きました。
なんとなく思いついたことではありますが、それについてしばらく考えるうちに、ますます大事なことだと感じています。

 僕が求めているのは安定感=「安定している感じ」ではなくて、「安定」だとはっきり言いますが、なぜ安定を追求したいのかについて考えをまとめました。

 これまで、僕は安定とは程遠い人生を歩んできました。不安定な仕事と人間関係で、不安とトラブルが多かった人生前半です。自分に自信がなく精神面でも思春期のような不安定な状態で20代を過ごしました。それでも金銭面と健康面においては苦労を経験しなかったのは幸運かもしれません。
思えば、中学生の頃にサラリーマンなど組織社会に対する劣等感と嫌悪感とが強く、彼らのような退屈な(ように見えた)人生は絶対に歩むまい、と考えたことが、不安定な人生に身を置く呪文だったのかもしれません。

 しかし人生の中間地点に届き、やるべきことが見つかり、そのための時間も少なくなってきた今、それを成し遂げるために「安定」こそが必要条件だと考えています。

 私達は常に、変化する環境や内面に翻弄されています。その影響で気分が良いときと落ち込むとき、体調の良い日と悪い日、仕事に集中できる日とできない日、やる気のある日とない日など、日々の身体や精神の状態が変わります。大きな時間軸で見ると、仕事が変わったり、付き合う人間が変わったり
財政的な状況が変わったりします。僕はこれらの小さな変化から大きな変化
まで、そのつど環境や自分の状態に反射的に反応して生きてきました。

 一方で、世の中のシステムは、安定していなければ成り立ちません。
毎日同じ時間に朝刊は届きますし、毎週決まった日にゴミの収集が来ますし、オリンピックは必ず4年に1度開催されます。ファミレスの味はどこも一定ですし、金額もいつも同じです。気分や体調で変わったりはしません。

 会社の信用も、安定で成り立っています。僕は個人で音楽家や楽器店を営んでいますので自分自身が会社です。やると決めていることを決まったタイミングで行う、約束を果たす、高い基準を維持することはお客様の信頼を得る上で最低限のことです。しかしそれが守れないこともしばしばあります。
会社の仕事だけではなく、人生の目的といった大きな意味での仕事を果たすためには、人生の安定がなくしては達成できないと考えています。

 安定について、僕は以下の6つに分類して考えました。

(1)生活の安定
決まった時間に寝て起きること。決まった睡眠時間を守ること。決まった時間に食事を摂ること、決まった時間に働くこと。暴飲暴食せずバランスよく栄養を摂ること。清潔で整頓された住職環境を維持すること。適度な運動をすること。

(2)健康の安定
健康維持推進につとめ、病気について学び病気を予防すること。病気になったときに、適切な方法で素早く健康を取り戻すこと。怪我をせず事故を起こさないこと。

(3)精神面の安定
喜怒哀楽などの感情の変化に振り回されない。仏教の説く貪(我欲、むさぼり)、瞋(憎しみ、恨み、妬み、嫉み)、癡(無知、愚痴、不平不満)から離れること。嘘をつかず公正であること。日々機嫌よく朗らかで冷静であること。

(4)人間関係の安定
誰にも公平で礼儀正しいこと。人を敬い丁寧に扱うこと。
約束を守ること。嫌いな人と関わらなければいけない場面でも礼節を守ること。

(5)経済面の安定
質素倹約に務めること。収入の範囲で生活すること。
必要なものを買い、ただ欲しいだけのものなら買わないこと。
借金しないこと。無計画に大きな買い物をしないこと。
自分のためではなく人の喜びや成長のためにお金を使うこと。

(6)ビジネスの安定
顧客や取引先との約束を果たすこと。期日を守ること。高い品質を維持すること。問い合わせに素早く返答すること。高い目標を達成すること。


 これらはすべてが関係していますが、まずは(1)の生活面から改善してゆき、(6)へとつなげます。

人生の目的を果たすといった大きな仕事のためには、高い集中力とエネルギーと時間が必要です。(1)~(6)に問題があると、悩みやトラブルのためにそれらを奪われ、足踏みをしたまますごすこととなります。

僕は、ヨーロッパの伝統音楽の楽しみと喜びをすみずみまで届けるという目的を持って活動しています。大きな目標達成のためには、できるだけ日々を安定して過ごすこと、健康で聡明で豊かに長寿を生きることだと考えています。早いうちに、人生のあらゆる方面での安定を確立させたいです。

PS・女性は安定した男性をパートナーに選ぶと言います。安心して育児をするためということですが、特に経済的、感情的に安定した男性は人気があるそうです。安定を得たら、モテるかもしれませんね!