Flookの京都磔磔のコンサート
歴史のある良いバンドを見るのは、彼らの音楽の変遷と自分の人生を重ね合わせ、振り返りこれからを見つめるような気持ちにさせられる。
Flookを初めてライブで見たのは2000年、アイルランドのカウンティ・クレアのドゥーリンという、小さな村だった。
田舎なのに、いや、田舎だからなのか、伝統音楽の聖地のひとつとされ、Magnetic Musicという、おそらくドイツの音楽レーベルが経営するCD店兼カフェがあった。
たまたまアイルランドを旅行中に本屋で買ったIrish Music Magazineで彼らのライブがあると知り、あんな田舎でと半信半疑で観に行ったのだが、 至近距離の生音で観たライブは、人生のベスト・ライブになった。
ちなみにその時一緒に観に行ったのはバウロンのトシとアメリカから旅行中だったフルートのSteph Geremireだったけど、彼らも今は有名なプレイヤーになった。
その次は、名古屋で。NHKのカルチャー教室の明るい空間が妙に不釣り合いで印象的だった。調べると2006年だったようだ。その時は自分は彼らのようなバンドを目指して頑張ってたっけ。
Flookは今年で活動21周年というから、1995年結成なのか。そう言えばみんな年相応な顔になってきた。
Flookが再結成、しかも京都でライブと聞き、絶対に見逃せないと思った。
ライブは大半がこれまでに発表したHavenとRubaiのCDからの曲で、2,3曲の新曲があった。演奏は相変わらず完璧に素晴らしく、休憩なし90分のライブはあっと言う間に感じられ、大満足だった。海外のアーティストは、この形式が多いようだ。
Brianの神がかった笛、Sarahの絶妙なサポート、EdとJohn-Joeの最高に気持ちいいリズムのコンビネーションは、いつも変わらない。
昔はBrianの笛に釘付けになっていたけれど、今回は他の3人が何をしているか、どういう役割なのかをじっくり観て聴いて考えて楽しんだ。
いつもサポートにまわるSarahがいなくても形は成り立つのかもしれないけれど、やっぱりSarahとのダブルフルートじゃなきゃFlookにはならない、とか、このバンドの主役は実はリズムの2人なんじゃないかと思った。
あと、みんなが缶ビールを飲みながら演奏する中で、Brianはペットボトルの水だけ飲んでいたのも印象に残った。やはり、相当ストイックなんだろう。たぶん、この人死ぬまで音楽の道一途なんだろう。
Sarahはヨガをするそうで、やっぱり…という感じ。そして、たぶんベジタリアンじゃないかな(勝手な予想です)。
John-Joeは表情はひょうきんだけど、一言も喋らなかったね。意外にシャイで律儀な性格なんじゃないかな。Edは柔らかい印象になったね。
新曲や新しい発想が少なかったので新鮮さという点では少し物足りなさがあったけれど、長年のファンとしてはマスターピースの数々を変わらず聴けて嬉しい。
15年前に発表したCDの曲が今も古びて感じられないのは、彼らがあまりにも先を行っていたから、そして本当に良いものは不変だからだろう。
お客さんに若い人が多く、古いCDにもかかわらず行列を作っていたのは、解散後も新しいファンを獲得し続けていたからだろう。
人生にはいろいろ起こるものだけど、怪我も病気も破滅的な喧嘩もせずに21年後にも演奏を続けているというのは、奇跡のように思う。それだけでもバンドに感謝したいくらいだ。
来年は新しいCDを出すという。
なんだか別れた芸能人が再婚して、さらに子供が生まれるみたい。本当に楽しみだし、おめでとう、と祝福したい。
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