UKの笛メーカーDixon社に、フルートとロー・ホイッスルを東部管を付け替え、両方が楽しめるセットという製品があります。 (画像はDixon社から)
こちらの製品ですね。
https://www.tonydixonmusic.co.uk/products/tb022/d
日本円にして2万円未満なのでとても安く、ロー・ホイッスルやアイリッシュ・フルートに憧れている人が飛びついてしまいそうな、魅力的な楽器です。僕がアイリッシュを始めたころから存在していましたので、ロングセラーなのだと思います。
プレーヤーとして、Dixonの笛は安かろう悪かろう…という印象を個人的には持っていましたので、自分自身は買ったことはありませんでしたが、 先日、試奏する機会がありました。
結果的に、残念ながら思った以上に音程が崩れている笛だということがわかりました。
こちらはロー・ホイッスルのとき。
こちらはアイリッシュ・フルートのときです。
笛は息の強さでなんとでも音程が変わりますし、フルートの場合は息の角度を調節してさらに大きく音程を変えることができますが、補正可能の範囲を超えています。
そもそもオクターブが合わない(2オクターブ目が低い)というのは、笛としては致命的な欠陥です。
フルートの頭部管のコルク位置をずらしても、改善はみられませんでした。
管体を共有するのは一見経済的なアイデアに見えるのですが、本来はロー・ホイッスルは円筒管、アイリッシュ・フルートは円錐管ですし、それを円筒管だけでまかなうのは無理があります(それ以前にロー・ホイッスルとしても音程が悪いので内径や指孔のデザインに問題がありそうですが)。
この笛で音程良く吹くには息の調節に過度に依存しなくてはならないわけで、そのエネルギーを表現に注ぐことができれば、もっとよい演奏ができるはずです。そして、この笛で練習していると、おかしな息の癖がついてしまい、きちんとした楽器を演奏した時にむしろ音痴になってしまいそう・・・。
もちろん、「変わった音程の笛」としてはマトモな楽器ですし、「息で音程を調正するためのトレーニングギブス」みたいなエクササイズ・マシンとしても、立派な商品です。
この結果を信じるかどうか、どう受け止めるかについては、皆さまに委ねたいとおもいます。
そして、貶めるためにわざとおかしな吹き方をしているのだろう!と思う方は、むしろ安心してお使い頂ければと思います。
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