Jean-Michel Veillon & Yvon Riou 日本ツアーお礼
※長文です。
フランス・ブルターニュのフルート奏者Jean-Michel Veillon(以下ジャンさん)とギター奏者Yvon Riou(以下イヴォンさん)の10/31~11/12の13日間にわたる初来日ツアーが無事に終わりました。
今回は台北・関西・関東の11会場でコンサートとワークショップを開催し、300人以上の方に参加いただきました。ご来場くださいましたお客様、宣伝を手伝ってくださった方、スポンサーの宇都宮伊澤屋様、ギターを貸してくださった いがりまさし さん、会場関係者の皆様に改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
この日記は自分の記録として書き残して置きますが、誰も細かいところまで読まないでしょうから、大事なことから書いていきたいと思います。読みたいところだけ読んでください。
<ツアーの収支>
どんなに内容が良くても赤字が出たらイベントは失敗です。二人からは、交通費+宿泊費はすべて経費とし、飲食費は各自持ち、宿泊はホテルのシングル、出演料は別途各コンサートごとにウン万円という条件を出されていました。
私がプロのエージェントではないことと、ジャンさんの「小さな会場でもいいからできる限り空き日を作りたくない」という意向を汲んで、出演料についての条件は免除してもらいました。
ただし赤字が出たら私がすべてかぶり、CDの売上は別途全額を渡すことは絶対条件です。関西での宿泊は経費節減のため自宅を利用しましたが、結果的に彼らもゆっくりでき、疲れずに済みました。
経費は自分の分も合わせて70万円ほど、経費を引いた利益はそれなりのまとまった金額が出て、CDは110枚すべて売り切れました。これにはお二人とも満足していただき、「また来たい」とおっしゃっていただけました。
言い出した時点で赤字は覚悟の上でしたが、持ち出しはなく、自分としてもほっとしました。
<反省点>
初動の遅れが最大の反省です。出演条件の交渉は2017年のうちに終わっていたのですが、2018年前半は楽器店の開業に集中しており、実際にコンサート会場のブッキングを始めたのは2018年の6月からでした。
チラシを配布開始したのは7月で、半年前には作っておくべきでした。ホテルの予約に至っては10月に入ってからで、条件の悪いホテルばかりでした。もっと早く動いていれば、音楽ホールや労音さんに企画を買い取ってもらうこともできたかもしれません。また、リスクを減らすために次回はクラウドファウンディングを検討したいです。
ブッキングについては、ある会場では人が集まらず、赤字すれすれになってしまいました。一箇所の人数が多いほどチャージバック率など経済効率性が上がるので、小さな会場で連日開催するよりも、100人収容の会場を3箇所くらいに絞ったほうが良かったです。
台湾公演については今回は彼らがたまたま取った航空券が台湾のエバー航空のものだったので、思い入れからコンサートを企画しましたが、私の渡航費で利益が飛んだので、やらなくてもよかったです。期待していた観光も一切できませんでした。
東京はホテルや駐車場が高く、また都民の平均収入も高いようなので、東京だけ入場料を高く設定しても良いかもしれません。
CDは200枚あっても良かったと思います。これらを改善すれば、もっと余裕のあるスケジュールで日本を楽しんでもらい、より多くの出演料を渡せたはずです。
<運営>
今回は私一人で企画、宣伝、販売、会計、料理や洗濯などお世話、荷物の運搬、運転、通訳から前座まですべてワンオペで行ったツアーでした。2週間予定を空けてくれるスタッフなどいるわけもなく、いたとて人件費を支払えませんでした。
それは問題なかったのですが、彼らより早起きして支度して彼らより遅く寝ていたので睡眠不足が辛かったです。最も心配だった運転は意外と問題ありませんでした。そのうち何かあるとジャンさんから「ハタオ~!」と呼ばれるようになったので、すっかりお世話役が板につきました。
<主催者の意義>
毎日奇跡のような演奏を観ることができ、ファンとして、音楽を学ぶものとして最高に幸せな日々でした。毎日たくさんの音楽の話を聞き、ワークショップも含めて自分が一番勉強になりました。
また、hatao & namiの演奏を3日間見て肯定的なコメントをいただき、いま取り組んでいることに自信を得られたこと。次に出版するフルート教本に、直前になって多くの付け足すべき内容を教えていただけたことは、お金を払っても得られないことでした。
音楽を学ぶ人は、世界的な一流の演奏家や先生を日本に招いてイベントをすると、先生との結びつきが強まり勉強になりますから、短期留学よりもずっと効果的な学びが得られることと思います。音楽以外に企画や宣伝の上でも勉強になりました。
<宣伝>
今回はチラシ6000枚(配りきれず2000枚以上が余りました)、SNS、YouTube、楽器店のメルマガ、お店のホームページを使っての宣伝でした。今考えれば、フランス大使館、日本のブルターニュ関係の飲食店や雑貨店、日仏会館など宣伝協力を依頼できたところがありましたが、当初は思いつきませんでした。
ジャンさんはフランスでは実績があるので、新聞やプロフィールなどフランス語の資料をもらってそれらの機関にPRすればよかったです。
チラシは会場以外に配布先が見つからず、ミュージックプラントの野崎さんに頼んで、Flookのコンサートで配布をしてもらいました。それでもツアーが始まるまでチケットの売れ行きが悪く、ツアーが始まってからSNSを中心に話題作りを頑張りました。多くの方がSNSで良い感想を書いてくださったのも効果があり、後半になって一気に予約が入りました。
日本では知名度が低いブルターニュ音楽ですが、人気のあるアイリッシュに絡めた売り方は一切したくなかったので、そこは私の意地でした。
<ふたりのこと>
演奏が最高なのは言うまでもありませんが、二人の人柄がおちゃめで、演奏以外の時間が楽しかったです。ジャンさんのおとぼけと、無口だけどジャンさんのボケをしっかり拾ってあげるイヴォンさんのコンビは友達としても相性抜群です。
観光にもグルメにも興味がなく、いつも音楽のことで頭がいっぱいで、会場に着くなり楽器を取り出す二人。お腹が空いていても、疲れていても文句を言わず、その日のコンサートを最高のものにしようという集中力は、私には足りないものでした。
時間にルーズで起床時間も出発時間も守れないのですが、そのマイペースぶりも計算に入れて行動したのでストレスにはなりませんでした。
どんな時もユーモアと感謝の気持ちを忘れず、誠実に自分の音楽を届けることにひたむきな姿が最も印象に残りました。
<今後のこと>
外国人ミュージシャンの招聘公演の企画は2回目で、初回は8年くらい前、アメリカ人パイパーのDick Hensoldさんでした。
その時は私の純粋な音楽的な好奇心で企画しましたが、今回は「ケルトの笛屋さん」とリンクさせて、ホームページでの宣伝や予約受付やCDの販売もしました。結果的にホームページでの予約決済システムはクレジットカード手数料が高く、今後はしないことにしましたが、お店を挙げての宣伝には効果があったと思います。
赤字を出さずにイベントを終えることができたので、今後は「ケルトの笛屋さん」の事業として招聘公演を手がけることも視野に入れたいです。大手エージェントは絶対呼ばないような素晴らしいアーティストを呼ぶことで、日本のケルト音楽の振興、ひいてはお店の事業の発展につながれば、好循環を生むことができます。
以上です。今回の公演に関わってくださった皆様に、改めて感謝いたします。今後もケルトの笛屋さんの活動を支援してくださいますと幸いです。
0 件のコメント:
コメントを投稿