こうして平日に毎朝どこかに通うという生活をするのは何年振りだろう? 僕は基本的に集団生活が苦手だし、誰かから習うのは下手なので学校や会社には不向きな人間だが、規則正しく同じことをコツコツと繰り返して積み上げてゆくのには向いているのだと気づいた。
毎朝完璧に予習・復習・最近はその日の宿題も先読みしてやってから学校に通っている。
語学や音楽では毎日の反復練習が結果として大きな差を生む。もしかしたら苦手であるスポーツも何かのきっかけで好きになるかもしれない。語学は大好きなことなので、毎日いくらやってもまったく苦にならない。僕は音楽をやっていなければ、言葉でご飯を食べていたのだろう。
考えてみれば、ずっと留学とか会社の駐在で海外に生活する人が羨ましかった。しかし若くして結婚したし、音楽家とはいえ定期的な仕事もしていたから、それを放って長期で海外に行くことができなかった。
40歳になって、自分で稼いだお金で初めてその生活をしてみて、なんというか、癒された。これまで自分の中で満たされなかった海外生活への憧れが、ある程度満たされたといえばいいのか。テクノロジーの発展もそれを可能にした。海外にいながらメールやスカイプや電子送金を利用して日本とほぼ同じ環境で仕事ができる。韓国は今のところ人生でもっとも長く滞在した外国になったが、楽器店のほうには大きな支障はなかった。ビザの問題さえなければ、海外に拠点を持って日本にたまに行くくらいの生活だって可能だと思う。そういう意味でも、今回思い切って留学してよかったと思っている。
あと1週間で留学生活が終わる。そうしたら、また元の生活に戻る。留学前と後とでは、まったく違うと思う。人生の可能性がまだまだ大きいことを知ったし、こうして短期間で韓国人と会話ができるようになり自信にもなった。
今日は、夜にコンサーティーナのスルギさんとバウロンのアンナさんと練習した。毎週木曜日に集まって3回目だ。スルギさんに、別れ際に많이 아쉬워요 マニアシウォヨ という言葉をもらった。その時はわからなかったけれど、あとで調べると「名残惜しい」という意味だった。こうして、言葉が増えてゆき、その言葉を聞く時、その人のことを思い出すのである。そんな思い入れのあることばが、中国語にも、英語にもたくさんある。
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